先祖代々の記憶をつなぐ、木の住まい
コーディネート | すまいポート21宇都宮本店 |
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設計・施工 | イケダ工務店 |
家族構成 | お母様 + ご夫妻 + お子様 |
敷地面積 | 1825.41㎡ (552.19坪) |
延床面積 | 153.19㎡(46.34坪) |
区分 | 建替え |
こだわり | 二世帯住宅収納子育て家事動線 |
設計コンペ開催日 | 2017年04月30日 |
竣工日 | 2018年07月12日 |
掲載日 | 2019年10月02日 |
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外観
新居は母屋を取り壊し、同じスペースに建てた
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玄関土間
のれんの奥はシューズクローク
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濡れ縁
LDKの南面に濡れ縁を設置。お父様が遺した建材を使った
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和室
玄関土間を入ってすぐの約6帖の和室。 客間としても機能する
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階段箪笥
母屋で使われていた年代物の階段箪笥を玄関脇に置いた
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約6帖の玄関土間
LDKに続く引き戸は母屋で使っていたものを生かした
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シンプルなデザインのリビング階段
アイアンの手すりが空間の意匠にもなっている
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LDK
解体した母屋の梁をLDKの天井に生かした。一部が吹き抜けで2階とつながる
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南向きの対面キッチン
キッチンに立ちつつ天井の梁も見えて開放的
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2階の室内デッキ
ここにもお父様が遺した 建材を使った。バルコニーの木も同素材
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子ども部屋
木の温もりに溢れた子ども部屋。成長に合わせて 空間を間仕切れるよう設計している
STORY
かつては専業で農業を営んでいたS様ご家族。
先祖から受け継いだ母屋は築120年余りの茅葺き屋根の家でした。
屋根を吹き替えたり、必要に応じて修繕しながら住み続けてきましたが、老朽化が進んだため建て替えることに。その際、すべてを壊すのではなく、柱や梁(はり)、建具など使える物は新しい住まいに生かすことにしました。
かつてこの地で設計事務所を営んでいた、今は亡きお父様が遺したスギやヒノキなどの角材も、新居の建材として適材適所に使われています。
新居の玄関を入ると6帖ほどの広々とした土間空間があります。ここは訪れた客人をもてなす場でもあり、一角に木のテーブルとイスが置かれていました。靴を履いたまま一服できるこうした空間は昔の家には定番だった間取りで、外部と内部がつながったような空間です。
今も現役で農作業を続けるお母様はここで旧知の友人・知人をもてなすのだとか。
昔の家の土間の方がより広く、ゆったりしていたそうですが、家屋の南西角に配するなど間取りは以前と同じにしました。
玄関土間の右手には昔の家で使っていた引き戸を配しました。
この間取りも以前と同じで、開け放つとおよそ23帖分のLDKが広がります。
ダイニング付近の天井を見上げると、煤(すす)で黒光りした梁が目に飛び込んできました。
重厚感のある梁の表面には昔の職人が手斧で削った跡が残り、唯一無二の存在感を放ちます。白い壁とのコントラストも絶妙で、空間の意匠としても申し分ありません。
漆黒の梁の上部は一部が吹き抜け天井になっていますが、その2階部分に屋内デッキを配しました。
6帖分もあるフレキシブルなスペースは幅広の階段で上がれるようになっており、秘密基地のような雰囲気があります。ここは物干し場や憩いの場として、また、子どもたちの遊び場としても機能しています。
聞けば屋内デッキやバルコニーなど目に見える場所の建材は、亡きお父様が遺した木材を使ったとのこと。
新旧がバランス良くマッチし、かつ、機能性を考慮したS様邸には、先祖代々受け継がれた記憶と家族の思い出が宿っています。