2、外観ひさし
公開日 : 2018.8.15
伝統的和風の家研究レポート住宅の雑誌などを読んでいますと、よく「日本の伝統的な家屋は夏を旨として造られてきた」と書かれることが多いように思います。そして、ときどきですが吉田兼好の徒然草が紹介されます。
「家の作りやうは、夏を旨(むね)とすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居は、堪え難き事なり」
という有名な一節が、ある種、日本の家を物語っているのでしょう。
端的に言えば、「家というものは、夏をどう過ごすか?」を考えて造れているということです。
確かに、冬であれば暖房をつけたり、厚着したりすることで調整できますが暑い夏は耐え難い。余談ですが、日本の気候は年々、温暖化の影響もあってはまさに暑い夏です。そのうち平均40度を超える夏が来るのではないかと恐れています。
実際、日本の伝統的な家屋では、青木邸のように屋根の庇(ひさし)がとても長く、さらに部屋の外廻りには縁側があって、夏の直射日光がほとんど部屋に入らないような作りになっていました。また、襖(ふすま)を全て開ければ部屋がつながって風通しもよくなります。私が子供時分に住んでいた家はこの説明の通りの家でした。今でもその体験を体が覚えています。
また、庇を長くとることができない家屋では、葭簀(よしず)や簾(すだれ)を上手に使って夏日を遮っています。
今ではあまり見ませんが、20年、30年ぐらい前の時代ですと、あちこちの家でよしずをかけている風景を見ました。
ここで、日本の伝統家屋に備わっている「軒(のき)」と「庇(ひさし)」の違いを説明しておきます。
建築担当の棟梁・篠崎氏によると、建物の屋根で外壁より突出している部分を「軒(のき)」と言い、窓や出入口の上に取り付けて、日よけや雨よけ用の小型の屋根のことを「庇(ひさし)」というらしい。
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