我が家の軒下、シャッターの上に、ツバメが巣を作っています。新築したての頃、糞が嫌で作りかけの巣を壊してから三年…
新築の頃とは違い、汚れるものは掃除すればよいと思うようになり、その労力を厭うよりも間近で雛が見られるかもしれないという期待が上回るようになった今日この頃。
ツバメの巣づくりを見ながら色々と考えました。
田んぼに水が張られ始める頃、ツバメたちが飛んできて、その泥と藁で巣を作り始める…大阪のビジネス街で育った私は、栃木に住み、家を建てるまでそんな春の風物詩を知りませんでした。
毎年ツバメたちが我が家を巣作りの候補地として偵察には来ていたのですが、巣が完成するのは初めて。泥と藁で巣を作り上げていく器用さは、間近で見ていると感心せざるをえません。
夜…巣を作り始めて間もなくは巣のそばで2羽ちょん、ととまって寝ていて、完成に近づいてくると1羽だけが巣の中で寝るようになりました。
ツバメにも色々な夫婦の事情があるのでしょうね。
僕のかわいい奥さんがまず巣でゆっくり眠れたらいいよ、なのか、本当は僕も巣で眠りたいのだけどちょっと狭いわよぉと追い出されているんだ、なのか、そもそも1羽用の大きさで作っているのか…外で眠っているツバメに聞いてみたいものです。
ツバメの巣作りについて興味が沸いてきた私は、インターネットで検索し、ツバメの研究をしている大学生のブログにたどり着きました。
そこにとても面白いことが書かれていたのです。
オスが使い古しの巣や新しい場所を見つけてきて、メスが気に入れば巣作り開始だし、気に入らなければそれまで。そして場所が決まればつがいで巣を作るのだけど、メスの方が積極的に働くのだそう。
これを読んで、そうか巣はツバメにとって家であると共に、分娩台であり、ベビーベッドだからこれから卵を産むメスの方がより熱心なのか、とふと思う。
人も似たところがあるのかも…女性の方が本能的に家づくりに熱心なのかもしれませんね。
家族が心地よく暮らせる家を、とあれこれ考えて作るのはツバメも人も同じなのでしょうか。
我が家にツバメが巣を作らなかったら興味を持つこともなかっただろうと思うと、家を建てることでまたひとついいことがあったな、と嬉しくなります。
無事卵が孵り、雛が巣立っていくのを見届けられますように。
■エブリー(住まいの広報誌)2017年7月号:2017年6月15日発行
[clink url=”https://www.sumai21.net/press/archives/482″]