我が家の子ども部屋は、いずれ仕切れるようにとプランされた9帖の洋室。
子どもたちがこの部屋で寝るのは随分先のことだろうと、引っ越してきたときには思っていました。しかしそのときは案外早く訪れそうで。
今回は、子どもたちの寝る場所を巡る母の揺れる思いを書きました。
引っ越してから3年が経った先日、小学2年生になった娘から、突然の宣言がありました。
「私、今日から弟とふたりで子ども部屋で寝る!」
家を新築して引っ越したのは娘5歳・息子2歳のとき。それ以来、当然のように家族4人一緒に主寝室で寝ていました。当分の間、子ども部屋は第二遊び会場になるのだろうなと私は思っていて、案の定、ここにはさほど遊ばないおもちゃたちが置かれ、お友だちが来たときに遊ぶくらいでした。
突然の宣言。
どうやら、遊びに行った同級生の部屋に、ベッドと勉強机が置かれてあり、憧れを抱いたようなのです。
私は子どもが何か言い出したときにはなるべく実現してやりたいと思うほうなので、さっそくその夜、子ども部屋に布団をセッティングしてみました。甘えん坊の息子は抵抗するかと思いきやすんなり姉に同行、朝までぐっすりと眠っていました。
こんなにあっさりと子どもたちが離れていくなんて、淋しいというより驚きです。
しかし母親というのは面白いもので、そんな感傷に浸っている反面、これはしつけの絶好のチャンスだな、などと現実的なことも考えているのです。
「ここは2人の部屋なのだから、起きたら布団はきちんと自分たちで畳んで、カーテンも開けるのよ。自分の部屋だから自分できちんとしないとね。」そう伝えると、雑ながらも実践しようとする態度は見られて、私はよしよし、もしかしてもうベッドを買ってもいいかしら、などと思い始めていました。
しかし1週間後。2人が少し咳をし始めたので、心配な私が「今日はみんなで寝よう」と誘ったのをきっかけに、何日経っても子ども部屋に戻ろうとしない子どもたち。
「あのね、私、子ども部屋で寝るの、飽きた。」ちょっとぶっきらぼうに言う娘はとてもかわいい。
そうね、もう少し家族4人で寝よう。
同じ家に住んでいても、少しずつ、子どもは離れていく。
家のプランを考えていた頃には、分かっているようで分かっていなかったことです。
■エブリー(住まいの広報誌)2017年1月号:2016年12月15日発行
[clink url=”https://www.sumai21.net/press/archives/482″]