栃木県に家を建てた私たちは、夫婦そろって関西出身。
夫は全国転勤がないこともない、という職場環境。
本当にこの土地に家を建ててもよいものかと当初随分迷いました。
今回は、お正月に関西の実家に帰省したときに考えた「故郷から離れた場所に家を建てるということ」についてです。
我が家から兵庫県にある夫の実家まではおよそ6時間弱。長すぎる電車旅にも関わらず、子どもたちは年2~3回「おじいちゃんおばあちゃんち」に行くことをとても楽しみにしています。
お正月、子どもたちはいつものように、この帰省がいかに楽しみかを祖父母への手紙にしたためました。それを受け取る義理の両親は、今までもらった手紙をすべてコルクボードに貼って飾るという喜びよう。
この滅多に会えないこそのやりとりは、とても微笑ましく素敵なものだと感じます。
年に数回しか故郷に戻ることができないところに家を建てること、随分と迷いました。
年老いた親と離れて暮らすのは心配が多いし、何らかの決断に迫られる日も来るでしょう。
夫が転勤になって家を売却することになるかもしれません。
以前暮らしていたアパートは夫の会社が借り上げてくれていたので、家賃は僅かな負担金のみ。よく言われる「家賃を払い続けるのはもったいない」ということは当てはまらず、考えれば考えるほど新築で家を建てることはリスクが大きいように思われました。
でも、私たちは家を建てることを選んだ。
相変わらず家を持つことのリスクは減っていませんが、「我が家を建てること」を経験し、今この家に暮らしていることは、家を建てることを決める前に想像していたよりもずっと幸せだと感じています。
でもどうしてなんだろう?
快適さを求めるなら設備のよい賃貸マンションでもよかったわけだし…。
帰省から戻り、宇都宮駅に着いたとき「なんかほっとする」と言う夫に、小2の娘が「私は生まれたのもここだしね」と言いました。
そっか、子どもたちにとってはここが故郷なんだ。
私たち家族にとっての「帰る場所」が欲しかったというのが、ここに家を建てた一番の理由だったのかも。
そして、家族一緒にあれこれこだわって建てた家だから、幸せ感が増しているのでしょうね。
漠然としていた「家を建ててよかった」という想いが、ほろほろとほどけていった瞬間でした。
■エブリー(住まいの広報誌)2017年3月号:2017年2月15日発行
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