“ハード”のバリアを“ハート”で解消する。

“ハード”のバリアを“ハート”で解消する。

2009年6月20日、 不慮の事故により脊髄を損傷し、車いすでの生活が始まりました。
入院時、患者間で一番関心が高かった話題といえば、住環境の整備についてでした。会話の中で皆さんが、今までの健常者の時のライフスタイルから一変することで、今後の住まいについて不安や不便さを感じ、多くの壁にぶつかっている現状を目の当たりにしました。

その不安や不便さを解消できればと思い、バリアフリー体験型オープンハウス「mi+ta+su」(以下、ミタス)を完成させました。
ミタスは、「みんな・たのしい・すまい」の頭文字で、障がい当事者だけでなく、そこに住まうみなさんが笑顔で満たされるような住まいづくりをコンセプトとしました。オープンから3年で、全国から50組を超える、同じような境遇で悩んでいる方々がご見学、ご相談をしにご来場して下さいました。
ここでは、今までにご相談頂いた様々なケースを踏まえ、バリアフリー住宅へリフォームする際のアドバイスをご紹介していきます。

【1】先輩の家を見よう!

まず最初にお勧めしたいのは、車いすユーザーの先輩の家を見学させてもらうことです。
もちろん障がいの種類や程度、症状、性別、年齢などで違いはありますが、具体的なイメージを作り易くなります。
実際に見学する事がベストですが、それができない場合、ブログ、ホームページなどで、画像を交えて自宅を紹介している方も多いので、数多くの事例を参考にしましょう。それらの情報を元に、自分の理想のプランニングを作っていきましょう。

【2】タイミングを決めよう!

僕がお勧めする、リフォームを計画するベストタイミングは、ずばり退院後です。
退院までに自宅をバリアフリーリフォームされた方の中には、障がい当事者不在のままプランニングした為、自分の身体に合っていないものになってしまったり、必要の無い箇所まで改修してしまったという方が多くいらっしゃいました。
それは、突如として、家族の一員が障がいを負ったことにより、様々な問題に直面する為、一つ一つの物事に時間が割けなくなり、地元の工務店、ハウスメーカーなどに「バリアフリーにしてください。」とだけ話をして、設計施工が進むからです。
そうすると、ただ単に手すりをつけたり、段差を解消するだけの「なんちゃってバリアフリー」になってしまいがちです。
ですから、家族からの手助けが得られる状況であれば、退院後に、自宅の不便なところを当事者がしっかりと確認し、その必要箇所を改修プランに入れていく方が望ましいと言えます。

【3】ミタスを考えよう!

バリアフリー住宅へのリフォームというと、障がい当事者のことだけを考え、そこに一緒に住まう家族の気持ちが置き去りになってしまう事が多々有ります。つまり機能性だけを重視し、住宅設備を全てバリアフリー対応商品群から選択すると、「いかにも」な造りになり、健常者にとっては使いづらいものになってしまう場合があります。また、そのような製品は、メーカー側も量産していない為、割高にもなってしまうのです。
障がいの程度によって大きく変わりますが、機能性とデザイン性を考慮し、「みんなが笑顔で楽しく暮らせる住まい」を実現させましょう。

【4】想いを伝えよう!

自分の理想のプランができたら、建築のプロに実現可能か相談しましょう。リフォームの場合、構造躯体の関係上、抜けない柱や壁もあります。また各関係法規を遵守しなくてはなりませんので、プロの力を借ります。
そこで大切なのは、障がいによる動作の制限や、それを補助する設備の必要性を伝えること。そして、どんな暮らしをしたいかという想いを伝えることも重要です。設計施工をされる方は健常者の場合がほとんどですので、身体的特徴や障がいを理解する事は難しいでしょう。住まいに関する想いや暮らし方、障がいに関する正確な情報を提供して、少しでもズレをなくしていきましょう。
住環境を整えることは、外出や社会参加、就労への意欲向上に繋がり、QOL*1も向上することでしょう。
みなさんの素敵な住まいづくりを応援しています。

*1QOL Quality Of Life の略。「生活の質」のこと。

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