諸外国と日本における、障害者に対する考え方の違い (駐車場編)

諸外国と日本における、障害者に対する考え方の違い (駐車場編)

今回は、住まいの話題から飛び出し、まちなかに存在するバリアフリーについてお話したいと思います。まずは、駐車場についてです。
2006年に施行されたバリアフリー新法によって、様々な新しい商業施設で、車いすマーク(国際シンボルマーク)が描かれた「障害者等用駐車区画」の設置が推進されるようになって参りました。そのおかげで、高齢者・障害者が安心して外出することができるようになってきたと思います。

車いすマークや身障者が運転手であることを示すクローバーマーク

車いすマークや身障者が運転手であることを示すクローバーマーク

しかしながら、残念なことに「障害者等用駐車区画」の不正利用が後を絶ちません。最近では、車いすマークや身障者が運転手であることを示すクローバーマークが、100円ショップでも普通に販売されていることも問題視されています。
おもてなしの国、日本。相手を思いやれる優しい国民性を持つ日本人であるはずなのに、先進諸外国に比べ遅れを取ってしまっているのは、一体何が原因なのでしょうか。
ここでは海外の事例も含めて説明していきます。

1.障害者等用駐車区画は車いす専用ではない?

障害者等用駐車区画

「障害者等用駐車区画」には国際シンボルマークである車いすのマークが描かれているため、車いす利用者のみ駐車できると思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、日本の現行のバリアフリー新法では高齢者、障害者、妊婦、けが人も含まれています。従いまして、車いす利用者に限定するものではありません。
また、このような考え方を推進する動きとして、佐賀県から始まったパーキングパーミット制度があります。利用許可証をルームミラーに引っ掛けて表示することで、対象者であることを示すことができるというものです。現在では30以上の自治体で導入されており、広がりを見せているが、交付の基準が各自治体によってバラつきがあるのは問題だと思います。
しかし、この制度の考え方ではなく、施設管理者側が独自に、「身障者専用」や「車いす利用者専用」と表記する場合も少なくありません。誰に、どのように利用して欲しいかを施設管理者側が意思表示することも増加傾向にあります。

2.不正駐車は罰金?


障害者等用駐車区画は、店舗の目の前で便利だから…、ちょっとの時間だから…、空いているから…。などという理由で利用される方が多いようです。
最近では、対象者が乗車していないにも関わらず、利用許可証を使用し、堂々と駐車する方も外出先でしばしば見かけます。期限付きのプラカードでは、利用期限が記載される箇所に、ゆるキャラのステッカーを貼っているケースもありました。
また、車の乗降に必要なスペースであるゼブラゾーンに、駐車されている場合もありました。日本では、このような不正駐車についての罰則はありませんが、他の先進諸外国では、明確な基準があり罰則があります。

例えば、アメリカの場合はどうでしょうか。
車いすマークが描かれたナンバープレートもしくは、利用許可証のプラカードを掲出していない車両は、レッカー移動され、その費用と罰金を科せられます。
州によって罰金の額に差はありますが、僕が訪れたことのあるネバダ州では200$~1,000$でした。

また、利用許可証の不正利用にも罰則があり、かなり高額な罰金になります。その他、イギリスやお隣の韓国でも同様に罰金が課せられています。

3.本当に必要としている人が使えるように

日本国内でも、このようにルール化をすることが、本当に良いことかどうかは議論が必要だと思います。僕は、この駐車区画が本当に必要としている人が、どのように使うか、なぜ必要なのかを伝える事から始めることが良いのではないかと思います。
その為には、こどもの頃からの教育が鍵となってると思います。僕は5年前から地元の小学校に伺い、児童全員に反射材をプレゼントしています。その際に、障害者等用駐車区画の必要性や適正利用についても、こども達に話をしております。すると、彼らは純粋なので、家に帰りそのまま親御さんに話をしてくれるので、地域全体として適正利用が推進されるようになるわけです。

アメリカでは、こどもの頃から学校や家庭内で、しっかりと障害者教育をするようになっています。これから2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催に向けて、いかにして意識を高めていくかが重要なポイントとなることでしょう。
本当に必要としている人が使えるような社会になりますように。

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