私たちの住む日本における身体障がい者は、393万7000人、知的障がい者74万1000人、精神障がい者320万1000人。合計787万9000人で、全人口の約6%以上になります。さらには、車いすを使用する人口は200万人とも言われておりますので、200人とすれ違ったら、3名の車いすユーザーに出くわすはずなのです。しかし、実際はいかがでしょうか。外出先にて、その割合で見かけることはほとんどないと思います。
国の調査によれば、50%以上の人が「日中、家庭内で過ごしている」と答え、外出できていないということになります。これは、大きな社会的課題と言えるでしょう。
では、なぜ外出することができないのでしょうか。その理由と、課題の解決策について考えてみましょう。
行きたい < 入れるを選ぶ?
障がい者の中でも、車いすユーザーの外出はハードルが高い方だと言えるでしょう。坂道や段差に弱く、路面の状況だけでなく天気にもよって、大きく左右されます。そんな理由から車いすユーザーは「行きたい」お店よりも「入れる」お店を選びがちです。
実際、外出先に関するアンケート調査をした結果、「ショッピングモール」と答えた方が80%を超えました。(1)車いす対応駐車区画にトイレ、(2)フラットな店内、(3)幅広い通路、つまりバリアフリー化されていて、「入れる」ということが事前に分かっている場所を選んでいるのです。
では、「行きたい」お店とはどんなところでしょうか。
テレビや雑誌などで取り上げられる、人気店や有名店かもしれません。もちろんショッピングモール内に入っている場合もありますが、まちなかの狭い路地を入ったところや、店舗入り口に段差がある場合も多いのです。車いすユーザーの選択肢を狭めているものは、段差などの物理的なバリアと、「邪魔になってしまうのでは・・・」、「手伝ってもらうのが悪いから・・・」などという心因的なバリアです。
そんな皆さんの「行きたい」を行けるようにする為には何が必要なのでしょうか。
本当に必要といている情報の提供
最近では、グルメサイトや旅行サイトにて、施設のバリアフリー状況を○や△、×という表記があるものが増えてきました。しかし、この簡易的な情報では、安心して外出する為の判断材料にはなりません。
本当に必要としている情報は、段差の有無だけでなく、スロープの有無、店舗入り口の幅や、車いすのままテーブルにつけるかどうか、などの画像や数値化された情報なのです。つまり事前に、店舗内外のハード面の情報が第一に取得したいのです。
日本国内では、バリアフリー化された店舗は約5%程度だそうです。従って、段差のあるお店の方が多いのです。
そこで、必要になるのが、ハートです。段差などのバリアがあっても、アシストして下されば利用できる店舗は想像以上に多いのです。こういったハードのバリアをハートで解消してくださる店舗を紹介しているのが、私が代表を務めるNPO法人アクセシブル・ラボが提供している、目的別で外出先が検索できるサイト「アクセシブル・ナビ」http://accessible-labo.orgです。
アクセシブル・ナビとは・・・
バリアフリー化されたお店だけでなく、独自の基準を設けて、様々な店舗・施設情報を紹介している目的別外出先検索サイトです。ユニークな掲載基準が設けており、「(1)店舗入口幅60cm以上、(2)店舗入口まで段差が5段以下、(3)車いすユーザーwelcomeという意思表示」の3つを満たすこととしています。
現在、栃木県内を中心に135件(平成27年7月7日現在)の情報を掲載しています。その中には、東京都、神奈川県、山形県、静岡県、沖縄県などの情報も含まれており、今後徐々に全国の情報を網羅していくつもりです。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。全世界から障がい者が多数来日されますので、日本流のおもてなしで、障がい者や高齢者に対してスマートに声かけやアシストできるようになっていなくてはならないと思います。
障がいの有無にかかわらず、みんなが笑顔で楽しく外出できる社会の実現を目指して、日本全体で盛り上げていけると良いと思います。
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