4月1日、障害者差別解消法が施行され、これを記念してパレードなどが全国各地で行われました。というニュースをみなさんはご存知でしょうか。
この法律が施行されたことによって、社会がすぐ変わるわけでもないと思いますが、何かしらのきっかけになれば良いと思っています。障害の有無にかかわらずみんなが笑顔で楽しく外出することができるように。
ただ、障害のある人々にとって、円滑な外出を実現するには、まだまだバリアがあるように思います。
先日、新幹線を利用して、東京へ出張した際に感じたバリアについてお話しします。
みなさんが新幹線に乗る際、真っ先に気になることといえば、席に座れるかどうかということではないでしょうか。
一人での利用の場合(通勤帰宅ラッシュ時を除く)、乗り込んだ車両に空席がなくても、次の車両に移動すれば、それほど苦労することなく、席を確保することができるはずです。
例えば、先日僕が乗った16両編成の東北新幹線(以下、「TSL」という)の場合は、約1,000席の中から1席分の空きを見つけることができれば良いということです。
一方、TSLの自由席に用意されている車いす対応座席はというと・・・1,000席中、たったの2席です。
そもそもみなさんは、新幹線内に車いす対応座席があるのをご存知でしょうか。通常、通路を挟んで左右に3席、2席配置されていると思いますが、その中で3席側の1席分スペースが空いている席、ここが車いす対応座席となっているのです。
特徴は大きく2つあります。
(1)車いすから座席に移乗しやすいように通路側の手すりが跳ね上げ式(可動式)になっていること。
(2)座席の隣に車いすを置いておけるスペースがあること。
ここで問題なのが、車いす対応座席であることを周知する、大きな表示があるわけでもなく、またそのようなアナウンスがされていないこと。
恐らくこの座席の存在自体をご存知なかったかと思います。
また、この座席のある車両は、1両目に設定されている場合が多いのですが、その座席を求めホームの端まで行き、乗ったものの、既に一般の方が座っているということがしばしばあるのです。先ほど触れたように、この座席の本当の意味が広く知られていないので、座席を利用されている方も悪意があってその席を選んだのではないのだと思います。
このように席が空いていない場合、車いすユーザーはデッキにいるという選択肢しか得られません。
なぜなら次の車両に移動しようにも、一般的な車いすでは、新幹線の狭い座席間通路を通行することができないので、車両間の移動は、一度ホームに出て次の車両まで行くことしかできないからです。
海外に目を向けてみると、こうした区画には、誰もがすぐに分かるよう、床面に大きく車いすマークなどが表示されていますので、一般の方が利用することはまずありません。つまり、常識となっているのです。しかし、今の日本において、こうした区画の意味が周知されていないという状況は、2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたって、危機的状況と言っても過言ではありません。
今後、どのようにハード面を整備し、周知していくかが喫緊の課題だと思います。
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